北の地での苦闘-その2
ひきつづき「プロジェクト]風に読んでくれたまえ」
初日は無事に終わったわけではなかった。
ようやっとホテルにもどり、風呂に交代で入った後、
酔いとカラオケの疲れもあり、ぐっすり眠れるはずだった。
チェックイン時に、部屋に入ったとたん「お化けが出ると怖いから私まんなか〜!」
そう言ってとっとと真ん中のベットを大人気なくも占領したきのこは
部屋の電気を消して、5分後。
すでに寝息をたてていたのだった。
旅先の軽い緊張と、枕が替わると寝付けないデリケートさからエルタはなかなか寝付けなかった。
隣でぐっすり寝ている人間が居るだけでも気を使ってしまい、益々目は冴えるのだった。
ウトウトとしても浅い眠りのまま目がさめてしまう。
そんな状態は結局朝まで続いたのだった。
-10月28日-
結局、エルタは2日目の朝を最悪のコンディションで迎えたのだった。
そしてぐっすり寝て快調なきのことカズミ。
さらに恐ろしいことに一昨日も旅行前の興奮でほとんど寝られなかったひろは
興奮が持続しつづけ昨日も寝られなかった為
ハイテンションに歯止めがきかない状態で2日目を迎えたのだった。
■小樽
北海道に来たからには海の幸を食べずには帰れない。
4人は小樽に向かった。
着いたのはちょうど昼時分。
最悪のコンディションをゼナを飲んでなんとか保っていたエルタは
ようやく空腹を覚えたのだった。
「お腹すいたな〜」
そうつぶやくエルタにうなずく3人。
食べるのであれば3色丼しかあるまい。
4人は店を探し始めた。
とたん目の前に綺きらびやかなショーケースがあった。
中には目にも美味しそうな丼モノや、蟹のサンプルがあった。
「ここにしよう」
誰ともなくうなずきあい、店に吸い込まれるの4人であった。
意気揚揚とメニューを広げる。
が、3色丼がない。
2色はあるが、3色はないのである。
「この2色丼に蟹、乗りませんか?」
こうなったら旅の恥は掻き捨てである。
オーダーを取りに来た店員、いったんは断るが、厨房に戻り
「200円足していただければ出来るそうです」
満面の笑みを浮かべながら言った。
そのとき200円でほんとに蟹が乗るのか?
そんな疑問を4人は持たなかった。
3色になったことに有頂天だった。
「お待たせしました〜」
来た丼をみて声を飲む4人。
「サンプルと違う・・・・」
ウニは色は悪いし、いくらはちょぼちょぼだ。
追加料金を払って乗せてもらった蟹にいたってはフレーク状である。
「これって誇大広告じゃ?」
「だまされた・・・」
そんな声をつい飲み込んで箸をつけてしまうのであった。
「あたし色の悪いウニは食べられないのよね〜」
と笑いながら言ったのは1人、海鮮丼を頼んだひろだった。
意外と気の弱い3人だった。
とりあえずの空腹を充たしたあとふと入った土産物屋で
まさしく理想の3色丼の写真がハガキになったものを発見した。
思わずくやしまぎれに購入し、
今回の旅行に来られなかった2人にそのはがきを投函したのだった。
「こするとにおいがするよ♪」
と書き添えて・・・。
■札幌の夜
その晩は札幌在住クリエータとの集まりであった。
「クリエーター」、そういえば聞こえは良いが
要は個性の強いやつらというだけである。
案の上、異様な盛り上がりを見せ店の外までその喧騒は漏れるほどの騒ぎとなった。
中でも帰る電車の心配をしなくても良いという状況に浮かれきったきのこは
傍若無人ぶりに磨きをかけたのであった。
そして、恐ろしいのは2日連続ハイテンションのひろだった。
彼女は集まりの直前、とうとうエネルギー切れをおこし、
目の下にクマまで浮かび倒れそうな様相であったのだが、
栄養補給剤(しかも300円台の安いもの)を1本飲んだだけで
見事復活し、ギラギラさせたまま宴会を乗り切ったのだった。
ドーパミンを自己製造するというのは本当らしい。
北海道クリエーターズ集団はこの勢いにすっかり飲まれ、
いつもはハイボルテージのやつらもついつい口数も少なくなるのであった。